粘膜切除における局注の考え方

内視鏡

 最近はESDの話ばっかりで,普段から行われているポリペクトミーやEMRの技術に関してあまり議論になることはありません.もちろんCold polypectomyやUnder water EMRなど今までの技術の改良はなされておりますが,スネアリングそのものの技術に関してはあまり話題には上りません.ほかにも食道静脈瘤硬化療法や止血術もあまり相手にされていない気がします.

 今回は局注に関して少し触れてみたいと思います.

針について知ろう

  自分がどのような局注針を用いているか把握しているでしょうか?

  • メーカーとその商品名
  • 先端突出長(3,4mm)
  • 鈍針か鋭針
  • デバイスの長さ
  • 他メーカーとの違い

 デバイスの長さは上部と下部で長さが違うのは当たり前で,置いておくとして,ほかは専門医になるまでには把握しておいて欲しいです.

 ただそんなに違いがあるかといわれると難しいです.黙って違う針を渡されても気づかない自信があります.

 明らかにわかるのが

  • フロー(局注の抵抗感)
  • 針を出す手元の硬さ・仕組み 

 です.

 いまはどのメーカーもハイフロー(バリクサー以外)なので,ヒアルロン酸の局注で困ることはないでしょう.ただ手元の針を出す機構は個性があり,好き嫌いが分かれます.結構ここで局注針の採用が決まってきます.

局注前にどのような膨隆を作るか決める

 局注は安全にスネアで把持しやすくするために行います(もちろんしっかりと粘膜下層を切除することも目的です).やみくもにたくさん局注しても把持しやすくなるわけではありません.

適切な膨隆.立ち上がりが明瞭でスネアリングしやすい.

 局注し過ぎで周りまで膨隆し,スネアが結局滑ってしまいスネアリングが困難になる.

針の先から局注液が出ることを意識する

 当たりまえですが,針先から局注液が出ますが,角度をつけて穿刺すると「刺入部」と「針先」にずれが生じます.穿刺した部位より奥が膨隆します.そのため刺入部で膨隆すると思っていると思いがけない膨隆が形成されます.

普通に局注すると,針先に局注液が溜まります.

   大きな病変を切除する際は,手前から局注すると病変が反対側へ倒れるため,奥から局注するように書かれているかと思います.それ自体は正しいのですが

針の刺入角が鋭角になりすぎると,穿刺針の先端が意図したところり奥になる

そのため膨隆が想定より奥に形成され意味のない膨隆となる.

このようなときはできるだけ鈍角に(粘膜に立つように)局注し膨隆を病変近傍に形成します.

また,病変を穿刺するといい位置に局注できることがあります.しかし,病変穿刺はimplantationのリスクがあるため原則「禁忌」と考えています.とはいえ,たまに病変穿刺になることや,やむなくすることがないわけではありません.

また小さい病変は奥に局注することにこだわる必要はありません.

小病変では手前から局注しても針の先端が病変直下になるため理想的な局注が可能となる.

 局注針で粘膜を押さえつけない

 局注を入れ始めると粘膜が膨隆してきます.局注針をそのままの状態にしておくと膨隆にめり込んで,せっかく膨隆を作ろうとしている粘膜下層の局注液の溜まりをよそへ押し広げてしまします.そのため,膨隆してきたらそれに合わせて局注針を控える必要があります.

密に打ち過ぎない

 連続して局注するときに,直前に作った膨隆のすそ野付近を狙って局注しましょう.たまにさっき局注した近傍に局注を追加する先生がいます.膨隆がしっかり作れているか不安なのだと思います.局注は粘膜に穴があき,局注液が漏れるリスクがあります.また胃体部なんかのESDですと局注だけで噴出性出血をきたすことがあるので無駄な局注針の穿刺は慎みましょう.

まとめ

 現在はEMRは大腸で行われることがほとんどですが, ESDや他部位でのEMRでも局注から始まります.ここでつまづくとその後の処置がうまくいきませんので,局注を何となくするのではなく,術前にどのような膨隆をつくりたいのか,そのためにはどのように穿刺するのかを考えて局注をしましょう!

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