十二指腸鏡,後方斜視鏡,側視鏡などの呼び名があります.私自身も特に固定されておりません.内視鏡と言ったり胃カメラといったりするのとおなじです.
慣れれば,大したことない挿入ですが,初学者の方はまずファイバー挿入という壁があります.どうしてもERCPをするということで身構えてしまうので挿入でつまずきます.
ファイバーを知ることから始める
直視鏡と異なる点は
- 後方斜視である(最近はどれも15度後方斜視となっています)
- 鉗子起上装置がついている
始める前に机上で処置具を通して練習しましょう.いきなり体内でやって,鉗子起上を寝かしたまま処置具を入れて,粘膜に突き刺すとかはやめてください.
先端キャップ
新機種では先端カバーはディスポになっているが,旧機種はまだリユースです.
- つけ方を練習する
- 挿入前にきちんと装着されているか確認する

体位は腹臥位
施設によっては左側臥位気味でファイバー挿入をするところがあるでしょうが,途中で体位変換をすることが面倒なため腹臥位でスタートするほうがいいでしょう.
仰臥位でも可能ですが,顔が固定されないため向こうを向かれると非常にやりにくいです.ただ,腹部の術後やドレナージチューブの操作のため仰臥位でせざるを得ないことがあります.また呼吸状態が悪いときなど,万が一挿管するとなった場合腹臥位は初動が遅れますので,仰臥位で行うことがあります.
咽頭から食道の挿入
十二指腸鏡は決してブラインドで入れるのではなく,見えている光景が直視鏡の場合と異なっているだけです.咽頭から「見て」いれています.入れる方向とかがきちんと見えるわけではないが,普段の光景と異なっていたら間違っていれていることに気づきます.
- 梨状窩 :あくまで優しく挿入 無理に押さない
- 食道憩室:あると思って食道通過はゆっくり
- ECJ :すだれ状血管がみえたら,少し反時計回りにファイバーをひねって接合部を通過する
食道は普通であればすーっと通過しますが,高齢者では下部で偏位していたり,憩室があり無理をすれば穿孔することがあります.
変な抵抗を感じたら無理せず直視鏡で確認してから挿入しましょう.
胃内に入ったら

ここまでの流れを,動画にもしています.ご参照ください.
透視画面における胃内でのスコープ

球部には優しく入り,乳頭までは慎重に
ERCPでのファイバー穿孔の大半は球部から乳頭への道のりで起こる
ストレッチする時もラフに行うと,癌の十二指腸浸潤時など裂けることがある.
球部に入ったらいったん気持ちを落ち着ける
ストレッチは基本的に無透視で行うが,最初のころは少し透視をみて感覚をつかむのもいいですよ
十二指腸スコープに慣れるには
胃カメラと同じで,できるようになったら,すんなり乳頭まで行けるようになります
しかし,初心者のうちに,普段の観察で慣れておく時期が必要です.やはり数が重要です,あと,ERCPのように乳頭まで行った後の「挿管」という一大イベントを意識せず,送気をしっかりして左側臥位で簡単に下行部まで到達することができるでしょう.
とくに胃潰瘍のフォローアップがお勧めです.
理由
- 基本的なスクリーニングが終わっているため,精密な観察が必要ない(ことが多い).
- H.pyroli の生検があると鉗子起上の練習にもなる
上級医に十二指腸鏡でやってもいいか聞いてみましょう
やっていてつまずくようになったらこちらも参考にしてください
コメント